もういい加減にちゃんとした「東京の傾向と対策」みたいなのが編み出されてもいい時だと思う

「もういい加減にちゃんとした「東京の傾向と対策」みたいなのが編み出されてもいい時だと思う」:一汁一菜絵日記帳

天然素材と2丁目WACHACHA世代の大阪芸人の東京進出の成功と失敗について書かれていますが、天然素材が東京に進出しかけてた頃の吉本芸人さんのラジオ番組*1を聞いてると、雨上がり決死隊とかFUJIWARAとかが、かなり早い段階でナイナイとそれ以外として東京の現場で分けて扱われていることへの不満を語っていて、東京の仕事から帰ってきましたという話になると、「ナイナイだけ呼べばいいじゃないか」という愚痴話になっていたのを鮮明に覚えています。「ナイナイのかませ犬」として「吉本印天然素材」という枠組みが東京進出にあたって使われていること、自分たちがナイナイの為の捨て石として利用されているというのは、当時リアルタイムで雨上がりとかFUJIWARAとかは感じていたように思います。
この戦法は完全にひょうきん族の時のさんま・紳助の売り出し方のノウハウで、ザ・ぼんちとかのりお・よしおインパクトのあって漫才ブームなどの影響で先に売れていた人達に、まず先頭に立たせていき、徐々にアクが薄くて、スター性やタレント性の高い後輩といつの間にか入れ替えていくというパターンを、天素のときはそのまま踏襲していたのは、結構当時から気付いてる人は気付いていたように思います。
で、千原兄弟ジャリズムの話なんですけど、これはファンの人には申し訳ないんですが、千原兄弟ジャリズムの東京進出って、事務所がとか東京の局のチームとかが計画立てた東京進出には思えないんですよね、本当に微妙にですが時期を逃した感もあったし、吉本的にも大阪の方はもう次のCOWCOWとか2丁拳銃とかに力の比重を移していた頃だし、東京は東京でこの頃から東京吉本で自前で芸人を出し始めていた時期ですから、あんまり緻密な計画に基づいた東京進出という気はどうしても当時から僕はしてなかったですねえ。
にづかさんの締めでもあり、僕がタイトルとして引用した部分についてですが、例えばフジテレビ721とかで「オレたちひょうきん族」や「冗談画報」の再放送を見たり、ビデオで僅かに手元に残っていたり、YouTubeで見れる「夢で逢えたら」を見ていると思うんですが、さんまさんにもしてダウンタウンにしても、そんなに東京だからといって自分たちの笑いのシフトチェンジをしていないんですよね、本人達はしていたというかも知れないけど、いまの状況と比較するとほとんどしていないに近いぐらい、大阪でやってたことがそのまま東京で全国で通用していた。
これが通用しなくなったというか、いまある形の“大阪のお笑い文化の独自性”というのは、実は天然素材からWACHACHAライブの時期に作られたんじゃないかなあと、やっぱりダウンタウンや天然素材の初期までにあった、東京に行く芸人さんに対する、後押し的な雰囲気って無くなってしまった。これにはナイナイに先越されたナイナイの先輩芸人が、「東京のテレビなんてつまんない奴らが受けるところ、大阪の劇場の笑いが一番」的なキャンペーンを引いて、それがその後の運命決めたというのもありますが、もう一つ丁度この時期に関西のテレビ界において、やしきたかじん上沼恵美子トミーズ雅あたりの台頭があるんですよね、この辺で「大阪の方が凄いんだから、東京になんて行く必要はない、特にお笑いに関しては」という空気が完全に出来上がってしまったように思います。
だからといって「東京=全国、大阪=ローカル」という状況には変化がない訳ですし、忘れちゃいけないのは、テレビでバラエティ番組ぐらいしかみない大阪の多くのお笑い・演芸ファンでも何でもない人達は、ほとんどがお笑いに関して“東京の価値観”のまま居続けているんですよね、これは一番大阪のお笑いファンと関係者が一番見落としがちなんですけど、ほとんどの関西人にとって全国放送の番組で始めて関西芸人を見る人がどれだけ多いのかというのは、早く気付いて欲しいところです。
でも「東京の傾向と対策」なんてことは、いまのムードが継続している状態じゃあ思い付かないよなと、それを考えること自体が何かダメなことにされかねないムードはあるように思います。
「東京の常識は大阪の非常識、大阪の常識は東京の非常識」というのは、実はここ10年ぐらいの傾向じゃないの? という問いを最後に書いて、にづかさんにトラバ返します。
追記)あとダウンタウンのブームと東京進出はどうなんだと言われるかも知れませんが、あれはちょっと別格のムーヴメント過ぎて、参考にならなさ過ぎ。前後の他のお笑いブームが集団で起こしたブームに対して、ダウンタウンの関西でのあのブームは、ダウンタウン単独で起こしたブームであり、その後のどの2丁目ブームやbaseブームより規模がデカイんだから、ノウハウなんて使いようがないし、無理矢理「第二のダウンタウン」みたいに扱われた人達が、東京進出の際に、大阪でこれから売れ出そうとしていた時に、どうなっていたかは皆さんの知ってる通りですからね、あれは例外、起こそうと思って起こせるもんじゃない。

*1:「よしもとDAウー!」とか。