『風雲児たち 幕末編 (7)』(みなもと太郎/リイド社)

風雲児たち 幕末編(7)(ISBN:4845828979)(総天然色頁)

あっやっぱり『風雲児たち 幕末編』って『雲龍奔馬』から転用しているんだと思ったんですが、まさかそれが雑誌連載では使われていないとは夢にも思いませんでした。これだと雑誌の方の読者は迅速な展開なのに、単行本になると坂本龍馬の話が挿入されてテンポが悪くなるという印象持つかもなあ、まあ潮出版社が『雲龍奔馬』なんていう、これまでの『風雲児たち』を崩すような幕末編にしたことがそもそもの間違いとはいえ、この名作に変な味噌が付いてしまいますねえ、雑誌連載はたまに流し読みするぐらいの自分にとっては、この単行本の進み方はそんなに違和感ないですが、そもそも群像劇の進行ってこういうもんだと思いますし。

「ワイド版風雲児たち 6巻」(バナナニュース)

田沼意次の再評価というのは史実・物語の両面できちんと今後行われていく必要性を強く感じます。彼の存在が「腐敗政治」の代名詞とされることは、今後の日本の現代の政治・経済においても大きな損失です。最も叩かれるべき政治家はもっと違う顔をしているものです。

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しかし安彦良和『虹色のトロツキー』という難しい現代の価値観では決して本質を語れない時代を扱った作品を発表して以降、青臭い左がかった思想が作品から消えたというか薄くなったように、みなもと太郎先生も信仰そのものについては分からないですが、少なくとも公明党の政策や主張と一線を引いたという可能性、それが創価学会系の潮出版社との決裂を生んだ可能性というのはありそうですね、まあこちらに関しては潮出版社の『坂本龍馬もっとだせやー、とっとと幕末にいけやー』という編集サイドの要請に切れたという理由の方が強そうですが(笑)。