稲本の移籍金の適切な額は?

稲本の移籍金についてフルアムに提示額が3000万円で流れたという件については、全体的に「ざけんなフルアム」「そんな安く見られているチームに稲本は行くべきでない」という声が圧倒的多数派で、別にここで具体的な例を出すまでもなく、はてなキーワードの「稲本潤一」「ガンバ」「フルアム」「フルハム」「フラム」などから昨日一昨日ぐらいのキーワードリンクを辿れば、大抵その論調ですし、ここで他の話題でリンクしているサッカーサイトも大概そっちです。
ただ3000万円ぐらいが打倒とするmasserさんの意見や、稲本の収益効果を考えたら1億円は元取れるだろうという7/30付けのガゼッタさんのように、稲本の実力、実績ではこのぐらいが打倒ではないかというのは僕も賛成です。ただガンバ側としたらユースから育てた選手であり、日本の物価などを考えてもその育成費用などを考えると、「3000万円で売れるか!」というのも分かる話です。
ただこの決裂は稲本の問題というよりも、ガンバとフルアムの関係が良好でなかったことが最大の決裂ポイントだったんじゃないでしょうか? フルアムからしてみれば、ガンバは最初三億円から五億円という移籍金を提示していたわけで、これだけの移籍金を払えばEUROベスト8に入ったチームのレギュラー選手を買える額ですし、そういう金額を最初に提示してきたガンバに対してフルアムは不信感があったと思うし、ガンバはガンバでフルアムのことを信用出来ないと思っているであろう事例が多々ありましたし、フルアムにしてみれば「ガンバに一円でも支払いたくない」という気持ちが、ガンバにしても「稲本をフルアムだけには渡したくない」という気持ちがどうも先行していたっぽい状況証拠が多くあるように感じています。
そうじゃなかったらガンバの社長から「移籍金ゼロで他のチームに行く方がマシ」という趣旨の発言は出てこないでしょうし、フルアムもここまでご無体な値切り方はせずに、最初から大金を投入するつもりなかったら移籍金五億円から値切りにいくなんて徒労に終わりそうな事はしないでしょう。*1
これはもう交渉の過程で感情的な面で互いに不信感を持ったことが決裂の原因と想像しても良いような気がします。
ただこの3000万円という値付けは、怒ったガンバの気持ちも分かるし、フルアムのこの評価も妥当と思うだけに複雑な思いが巡りますよ。
「ガンバが怒るのは当然」という意見には全く反論なく賛成なのですが、ただこの値付けを「稲本を軽く見ている」というのは違うと思います。それはmasserさんがやっている比較などから見ても分かるように、現状のヨーロッパでの序列の中の稲本の立ち位置を考えると妥当としか言いようがないと思うのです。
むしろ稲本だけでなく、中村や柳沢についてもそうですが、ヒデや小野ならともかくレギュラー獲得出来るか怪しいクラスの選手に四億も五億もすんなり出すほうが、逆に戦力以外としてのジャパンマネーへの期待への投資という意識丸出しで、逆に戦力としての面をきちんと見ていない感じで嫌な感じがします。
あと稲本が確実にレギュラーとして出れそうなリーグのチームということになると、移籍金どころか稲本への年俸の支払いもスポンサー無しで出来るかどうか怪しくなってしまうわけで、悩ましいところです。
日本のクラブに所属している選手が海外クラブに移籍する際は、南米のチームがやっているように『他のチームに移籍する際は移籍金の○%を元のチームも受け取れる』という契約にした上で、1億円以下の値でプロヴィンチアのチームに売って、そこからビッグチームに移籍が決まれば元のJチームも儲かる、失敗したときは優先的に安く買い戻せるというオプションも付けるというモデルを確立するのが、日本の選手の海外移籍を活性化させた上で、Jクラブも儲かる仕組みとして必要になってくると思います。

*1:既に結構な移籍金を払っているということと、来年まで待てば移籍金0で取れるという指摘も当たっているでしょうね。