効果的な海外移籍ルート

いつの間にかBlog化していたおおやしさんのBlogのエントリーより。
概ね同意というより、僕も少し前振りだけはしていたのですが、書こうと思っていたことを先に書かれていた感というのは悔しいですが(笑)、まあ楽出来ると思って引用紹介しながら持論も出していきます(笑)。
まず僕が日本人が欧州移籍するときに一番気になっているのは、日本の選手が判を押したように『戦術理解が足りない』とか『チームの戦術を守らない』というような批判を受けていることです。これは頭が良くてフォアザチームなイメージがある戸田和幸藤田俊哉まで最初の頃は言われていた、これは結構日本人の多くには結構衝撃だったんではないでしょうか?*1
この話しはこの話しで長くなると思うので一旦はしょってまた今度やりますが、よく日本人選手が海外移籍するにあたって『まだ当たりに弱い』『フィジカルが足りない』等という理由で『Jリーグで学ぶべきことがある』と語る方は多いですが、でも僕は日本人の多くは意識付けとか欧州サッカー界の常識……もっといえば慣例とか伝統を前提とした常識みたいな問題で苦労している人が多いように感じるのです。
そういう意味ではやはり僕は若い頃から行って、柔軟な脳みその状態でいくべきなのではないかと考えています。なにか欧州で日本人がやるにあたって日本人が一番足りていないものって、運動能力ではなく絶対にメンタル……というよりサッカーに対する考え方とか思想のようなものなんじゃないかと思うのです。それはいまオシムハン・ベルガーハシェックなんかが持ち込もうとしているものの正体であるような気もします。*2
だから僕は基本的には多少足りなくても、海外移籍を考えている選手は若いうちに行くべきだと、今シーズンの柳沢を見ていても強く思いました。廣山望遠藤雅大のような例を除けば海外移籍を考えている選手は基本的に若ければ若いほど良いと思います。
で、そういうのも含めてどこに移籍するべきかということを考えると、やはり僕もおおやしさんの言うように、オランダ、ベルギーという選択がやはり良いと思います。
日本人移籍の失敗例といっていいイングランド、スペイン、イタリアに関しては、行くのなら出番はなくてもトップチームが良いと思います。もしくはセグンダ、ディヴィジョン1やセリエBのチームが良いと思います。
理由は簡単、どっちみち起用されない可能性が高く、それならトップチームに行った方が良い、試合数も多いからレギュラーでなくても起用される可能性はあるし、そのチームに所属していたという看板を利用して現実的なチームへのレンタル移籍という芽もある。
いや裏を返して言わせてもらうと、僕はトップリーグで残留争いをしているチームにはいかない方が良いのではないかと考えているんです。クラブやサポーターは日本で言うところの『助っ人外国人』として見ているのに、本人は『留学の延長線上』みたいな意識だったりする意識のズレが生み出す悲劇もあるでしょうし、何より残留争いの中で『ホームゲームで相手も強豪というわけでもないなのに勝ち点1を目指して最初から試合に挑む』みたいな感覚に日本人選手がまだ付いていけいない現状、そしてイザというときにスケープゴートにされるということを考えると、僕は正直一番しんどいのがこの1部リーグの下位チームに移籍するという選択肢だと思います。
しかし現実問題として『Jリーグよりレベルが高いリーグで、出場機会がある』という欲求を満たすには、必然的に四大リーグの残留争いをするようなチームになると思うのですが、僕はこの選択肢が一番、日本人選手の海外移籍の失敗の原因なのではないかと思うのです。
だからこそ僕は低いレベルのリーグからのキャリアアップを目指していくという方向と、トップリーグのトップチームに出場機会なくても良いから飛び込んでいって、落としどころを探ってゆくというのがベターなのではないかと考えるようになっています。
正直、僕はJリーグよりレベルが高いサッカーをしているかどうかというのは、僕は海外移籍の第一歩としてはどうでも良いんじゃないかと考えています。
カズさん、トルシエさん、ベッカムさんがいうように、僕も海外移籍というのはサッカー選手だけでなく、例えば野球選手のメジャー移籍などを見ていても、外国で生活をすることによる人間的な成長という要素、そして違う価値観を持って同じ競技が行われていることを知ること、日本とは違うサッカー観があることに触れることこそが一番大事なことなのではないでしょうか?
この項の前半で僕は日本人サッカー選手が欧州で最も苦労していることは、運動能力ではなく意識や考え方の問題ではないかという話しを書きましたが、ぼくはそう考えるとやはり多くの選手が海を渡り、そこそこのレベルでも良いから活躍してお土産を持って出戻ってくる選手が沢山出てきて欲しいと思っています。*3
それにレベル云々というのならセリエやプレミアの下位チーム同士の試合なら、僕はJリーグの上位チーム同士の試合の方がはっきりいってレベル高いと思うので、あくまでも最初の海外移籍はレベルではなく海外という異文化、サッカーに対する考え方、取り組み方などなどが日本とは違うところでサッカーをするということを第一義にするべきではないでしょうか?
キャリアアップのための移籍というのは、その次の段階で良いのではないでしょうか? 中田英寿小野伸二のように活躍してからでも遅くないと思います。そのためにはやはり活躍できる、名前が売れるレベルを選ぶのは悪くない気がします。
そして一番重要なところはJリーグに海外で成功した上で出戻ってくる選手が一人や二人ではなく、何人も出来れば何十人もいる状況こそが今後の発展に繋がると僕は結構信じているので、やっぱり猫も杓子も海外移籍を僕はまだまだするべきだと思います。それは別にKリーグやCリーグであっても構わないとすら僕は思っています。*4
ただ本当に僕が一番大事だと思っているのは、遠藤雅大型の海外移籍が増えることだと思っていたりもするのですが。

現在のところサンプル数が少ないために十分な考察とは言えず、そこからのステップアップも問題だが、オランダ・ベルギー方面に強い代理人との太いパイプを作るとか、1つのチーム、例えばフェイエノールトに3人くらい入れてみるとか、なかなか興味深い想像だ。
ここがヘンだよ日本サッカー:効果的な海外移籍ルート

そういう意味ではJリーグの最初の頃に在籍していたオランダ人、ドイツ人選手が続々とドイツやオランダ、スペインなどのクラブチームで重要なポストに就き始めているというのは、束ねていけば大きなパイプになっていくと思います。*5
ただ日本のクラブやサポーターの方に選手の売り手となることへの拒否反応が相当あると思うので難しいのかなとも思うのですが……。
1つのチームにという話しは、2002年頃にフェイエノールト服部年宏稲本潤一を取るという話が出たり、後日、川口能活にもオファーか!? みたいな話しが出たりしたのは、日本の新聞の飛ばしも半分以上だったでしょうが実現したら面白かったのになあと思いました。
(多分、続く?)

■逆リンク
Footholic Clinic:効果的な海外移籍ルート(続き)
フットボールバーリトゥーダー:シエナが日本人獲得へ

*1:だから僕は『for football』でモデナの監督が言っていたり、中田徹さんがオランダのユースやジュニアユースのチームでの話しを読む限り、チーム戦術の大切さというのをもっと日本も幼い時期に教え込む必要性があるのではと最近思うようになっていますが、これはまた後日に別項でしっかりと。

*2:だからそういう意味では30過ぎて適応しようとしていた藤田俊哉はやっぱり凄いなと思うとともに、そういう思想のようなものが唯一日本で身に付くことが出来ると僕が勝手に思っていた磐田の選手である藤田ですら最初はギャップに苦しんだというのは本当に驚きました

*3:ただカズや名波、藤田と違って柳沢敦中村俊輔のような外的要因がない出戻りにはお土産無いと思っているので、やっぱり通用するところにいくというのは大事だと思います。

*4:そういう意味ではアルビレックス新潟・シンガポールの成功は本当に心の底から願ってやみません

*5:ファネンブルグがPSVのユース監督から1860ミュンヘンの監督で、チキ・ベギリスタインがバルサのTDだもんなあ……。